どうして口は閉じているのに、鼻からいびきをかいてしまうのだろう?
鼻いびきがうるさくて家族から怒られているけど、どうやって治すの?
このような悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか?
鼻いびきとは、口は閉じているにも関わらず鼻でいびきをかいてしまっている状態のことです。
本来であれば口からのいびきをイメージをされる方が多いと思いますが、実は口を閉じていても鼻いびきをかいてしまう方がいます。
今回の記事を読むことで、鼻いびきに対して以下のような知識を得ることができます。
・鼻いびきがうるさい原因が分かる
・鼻いびきがうるさい場合の身体への影響が分かる
・うるさい鼻いびきへの対策法が分かる
鼻いびきをしっかり理解することで、心地よい睡眠と元気な毎日を手に入れましょう!
鼻いびきがうるさい原因
いびきの中でも「鼻いびき」といういびきをご存知でしょうか?
鼻いびきとは「口を閉じているにもかかわらず、いびきをかくという状態」を指します。
一般的には、睡眠中に舌根が落ち込んでしまうことで気道が狭くなりいびきをかく方が多く、狭い気道を空気が通過する際の振動音がいびきとして聞こえます。
【引用】もりやま歯科医院
しかし、中には鼻詰まりが原因となり、鼻の気道が狭くなることで、口は閉じているにも関わらずいびきをかいてしまう方もいます。
具体的な原因として、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの耳鼻科疾患や、鼻腔内に浮腫が生じるような病態が挙げられます。
ここでは、それぞれの原因について詳しく解説します。
アレルギー性鼻炎
鼻いびきの原因として、アレルギー性鼻炎が挙げられます。
アレルギー性鼻炎に罹患すると、鼻腔内にアレルギー反応が生じて鼻腔粘膜が浮腫んでしまうため鼻腔が狭くなります。
アレルギー性鼻炎にはダニやホコリなどが原因で季節に関わらず通年症状が出るものと、スギやヒノキなどの花粉が原因で季節によって症状が変わるものがあります。
また粘膜の浮腫だけでなく、透明で水溶性の鼻汁が原因で鼻詰まりになることもあります。
慢性副鼻腔炎
鼻いびきの原因として、慢性副鼻腔炎が挙げられます。
鼻腔の奥に副鼻腔という空洞が存在し、慢性副鼻腔炎はそこに膿汁や浸出液が蓄積してしまう病気のことです。
【引用】小林製薬株式会社
副鼻腔に生じた炎症が鼻粘膜に波及し、鼻粘膜が浮腫んでしまうため鼻いびきの原因になります。
鼻詰まりが3ヶ月以上症状が続く場合は、慢性副鼻腔炎の可能性が高いです。
空気の乾燥
鼻いびきの原因として、空気の乾燥が挙げられます。
鼻腔粘膜には通常、アレルギー物質やウィルスなどの異物を排出するための線毛が存在していますが、乾燥した空気が流入すると線毛運動が低下してしまい、異物を除去しにくくなるため、鼻炎や感染症などが引き起こりやすくなります。
その結果、炎症による鼻腔粘膜の浮腫が生じ、鼻いびきの原因になると考えられています。
特に冬場は乾燥しやすいため、注意が必要です。
アルコール摂取
鼻いびきの原因として、アルコール摂取が挙げられます。
アルコールの薬理作用である血管拡張作用によって、鼻粘膜の血管が拡張して浮腫を引き起こし、気道が狭くなるからです。
またアルコールには筋弛緩作用もあり、舌根が後方に落ち込みやすくなるため、鼻いびきだけでなく通常のいびきもかきやすくなります。
特に就寝前の過剰なアルコール摂取は控えましょう。
鼻中隔湾曲症
鼻いびきの原因として、鼻中隔湾曲症が挙げられます。
鼻中隔湾曲症とは、その名の通り、鼻の内部を左右に分けている鼻中隔が湾曲してしまう病気のことです。
【引用】老木医院
鼻中隔は鼻中隔軟骨、篩骨正中板、鋤骨の3つの骨で形成されており、それぞれの骨が成長するスピードは微妙に異なるために、その過程で鼻中隔が左右に曲がってしまうことが原因です。
その結果、鼻腔が歪んでしまい鼻詰まり、鼻いびきの原因になります。
程度によっては手術などが必要になる場合もあり、注意が必要です。
肥厚性鼻炎
鼻いびきの原因として、肥厚性鼻炎が挙げられます。
肥厚性鼻炎とはなんらかの原因で鼻腔内の粘膜が肥厚してしまい、鼻詰まりを来す疾患です。
主に、アレルギーや寒暖差、血管収縮剤の入った点鼻薬の汎用などが原因で、下鼻甲介という大きな面積を占める粘膜が肥厚することで発症します。
肥厚した粘膜によって気道が狭くなるため、鼻いびきの原因になります。
一度肥厚した粘膜は手術などで取り除かないと除去できないため、厄介な病気と言えます。
鼻いびきによる影響
「鼻いびきをかいていると家族に言われたけど、身体にはどのような影響があるのだろう?」
「鼻いびきは口のいびきと違うし、放置してもいいのでは?」
このような疑問や悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか?
結論から言えば、鼻いびきは放置せずに早期から適切な対策を講じるべきです。
鼻いびきは通常のいびきと同様、全身に様々な悪影響を与えるからです。
具体的には口呼吸の増加、睡眠時無呼吸症候群の発症、睡眠の質の低下などが挙げられます。
病気と違って、鼻いびきは発症当初には日常生活に大きな影響を与えないため放置されがちですが、長期間放置すると命に関わるような病気へ進展する可能性もあるため、注意が必要です。
ここでは、鼻いびきによる影響を詳しく解説します。
口呼吸の増加
鼻いびきによる影響として、口呼吸の増加が挙げられます。
鼻いびきは根本の原因が鼻詰まりであり、睡眠中に鼻呼吸ができず苦しくなってしまうため、代償性に口呼吸が増加します。
人間は本来鼻呼吸で生活する生き物であり、空気が鼻腔粘膜を通過する際に鼻汁によって加湿・加温・雑菌除去などを行い、綺麗で湿った空気が肺に流入していますが、口呼吸が増加すると、冷たく乾いた汚い空気がそのまま肺に流入するため、呼吸器感染症のリスクが高まってしまうことが知られています。
さらに、口呼吸を行うと下顎が後方に落ち込んでしまうため、さらに舌根が気道に落ち込みやすくなり、いびきの悪化につながります。
【引用】朝日新聞
また、気道の狭窄が進めば睡眠中に取り込める酸素の量が低下し、睡眠時無呼吸症候群に進展する可能性もあります。
睡眠時無呼吸症候群
鼻いびきによる影響として、睡眠時無呼吸症候群が挙げられます。
前述したように、鼻いびきそのものや、鼻いびきによる口呼吸の増加によって、睡眠中の気道狭窄が進行してしまうと、睡眠中に取り込める空気の量が減る、もしくは呼吸が止まってしまい、睡眠時無呼吸症候群に至ります。
睡眠時無呼吸症候群に長期間罹患すると、睡眠中に全身が低酸素状態に晒され、そのストレスによって交感神経が持続的に活性化してしまうため、様々な全身疾患を引き起こす原因となります。
具体的には、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、心房細動や不整脈・心筋梗塞などの心疾患、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害などの発症リスクが増加することが知られています。
これらの疾患は場合によって命の危険性もあるため、早期から適切な対策を行う必要があります。
睡眠の質や時間の低下
鼻いびきによる影響として、睡眠の質の低下が挙げられます。
前述したように、睡眠中に取り込める酸素の量が低下することで、睡眠の質や時間が低下することが知られています。
具体的には、中途覚醒(睡眠中に覚醒してしまうこと)が増加し、総睡眠時間が短縮されます。
さらに、睡眠は主に身体が休憩するレム睡眠と、脳が休憩するノンレム睡眠に分けられますが、鼻いびきではノンレム睡眠の時間が短縮する傾向にあり、脳が休憩する時間が短くなってしまうため、睡眠の質も低下してしまいます。
これらの結果、朝の目覚めが悪くなり、日中に眠気を感じて業務効率が低下するなど、多くの弊害が出現してしまいます。
鼻いびきがうるさい時の対処法
鼻いびきがうるさい場合、全身に様々な悪影響を与える可能性があるため、早急に適切な対策を行う必要があります。
また、周囲の家族やパートナーの安眠を確保するためにも、鼻いびきは改善すべき症状です。
市販のグッズを利用した簡易的なセルフケアや、原因を根本から治す根治療法まで、対策法は様々であり、原因や症状に応じて適切に選択することが重要です。
特に最近では多くのセルフケアグッズが販売されていますが、それぞれ若干用途が異なり、メリットやデメリットも異なります。
ここでは、鼻いびきがうるさい時の対処法について詳しく解説します。
鼻チューブ
鼻いびきの対策法として、鼻チューブが挙げられます。
【引用】ナステント株式会社
鼻チューブを左右どちらかの鼻から挿入することで、物理的に鼻腔を拡張させることができるため、鼻詰まりが解消されます。
実は、手術などに用いる麻酔のあと、目覚めが悪い患者に対しては以前から使用されている器具でした。
鼻チューブのメリットは、物理的に鼻腔を拡張するため閉塞するリスクが低い点や、コストがあまりかからない点ですが、その一方で鼻腔への刺激があり、挿入に伴う鼻血のリスクもあります。
そのため、使用にはある程度の慣れが必要になる器具と言えます。
鼻腔拡張テープ
鼻いびきの対策法として、鼻腔拡張テープが挙げられます。
鼻腔拡張テープは、鼻の上から貼り付ける絆創膏の様なテープであり、テープに内蔵されるバネの力で鼻の外から鼻腔を広げることができます。
鼻腔拡張テープのメリットは、ドラッグストアで誰でも簡単に購入可能であること、装着も簡単であること、比較的安価であることなどが挙げられます。
その一方で、テープによる皮膚の表皮剥離や、原因が鼻腔以外にあるいびきには効果がないなどのデメリットもあります。
ノーズピン
鼻いびきの対策法として、ノーズピンが挙げられます。
ノーズピンは左右両方の鼻の穴から挿入するソケットのようなもので、鼻腔を拡張させる効果が期待できます。
鼻の穴から、概ね10〜15cm程度の深さまで挿入され、両側の鼻腔を拡張します。
ノーズピンのメリットは、鼻腔拡張テープと同様、ドラッグストアで誰でも簡単に購入可能であること、装着も簡単であること、比較的安価であることなどが挙げられます。
その一方で、寝ている間に外れやすく、鼻の奥の気道狭窄には対応できないなどのデメリットが挙げられます。
特に、鼻孔に近いところで狭窄している人にはオススメです。
生活習慣を見直す
鼻いびきの対策法として、生活習慣の見直しが挙げられます。
鼻いびきの原因は耳鼻科疾患のみならず、アルコールの過剰摂取や就寝環境の乾燥なども挙げられます。
そのため、鼻いびきを改善させるためには、就寝前の過剰なアルコール摂取は控えるべきです。
また、就寝環境が乾燥している場合は加湿器などを積極的に利用する、もしくは濡れたタオルなどを枕元に置くなどの対策をとりましょう!
専門の医療機関を受診する
鼻いびきの対策法として、専門の医療機関への受診が挙げられます。
鼻いびきの原因の中でも、特に耳鼻科疾患は正確に診断をつけるために医療機関を受診する必要があります。
自己判断で誤った診断を行ってしまい、不適切な対策を継続した場合、症状は良くならないどころか、さらに進行して睡眠時無呼吸症候群に進展する可能性もあります。
また肥厚性鼻炎や鼻中隔湾曲症など、物理的かつ不可逆的に鼻腔が狭窄しているような病気では手術が必要になる可能性もあり、医療機関への受診がオススメです。
まとめ
今回の記事では、うるさい鼻いびきにお悩みの方に向けて、鼻いびきの原因や対策法について解説しました。
鼻いびきは鼻が詰まっていることが原因で生じるいびきであり、アレルギー性鼻炎や鼻中隔湾曲症などの耳鼻科疾患や、アルコールや乾燥に伴う鼻腔粘膜の狭窄が主な原因になります。
ただのイビキだと思って症状を放置していると、睡眠の質の低下や、場合によっては命に関わるような病気に進行することもあるため、早期から適切な対策を取ることが重要です。
今回の記事でご紹介したように、安価で簡単に購入できる対策グッズも多く販売されているため、これを機にお悩みの方はぜひ一度お試しください。
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