いびきの原因とは?危険ないびきのチェック法や5つの対策を紹介

いびきの原因とは?危険ないびきのチェック法や5つの対策を紹介

家族やパートナーの方から「昨日はいびきがすごかった」と指摘されたことはないでしょうか。
他人が目を覚ますほどのいびきをかいている方は、何らかの病気を発症している可能性も疑われるため注意が必要です。

本記事は下記のような方におすすめです

・いびきのメカニズムを知りたい
・いびきの種類や原因を学びたい
・いびきがひどい場合に考えられる病気を知りたい
・いびきの対策をしたい

いびきに悩まされている方は、記事を参考にして適切に対処してください。

いびきのメカニズム

いびきは専門的に異常呼吸音と呼ばれており、何らかの原因で喉(上気道)が狭くなり、息を吸った際に振動して低い「ボーボー」という連続性ラ音を発するのが特徴です。

起きているときは筋肉によって空気の通り道が支えられていますが、寝ているときは筋肉が緩むため、喉が狭くなっていびきをかきやすくなります。

いびきの種類

いびきの種類

いびきは大きく以下の3つに分類されます。

  • 単純性いびき症
  • 上気道抵抗症候群
  • 睡眠時無呼吸症候群

単純性いびき症

単純性いびき症は習慣的に見られるいびきの1つで、寝ているときにいつもいびきをかいている人が該当します。
上気道抵抗症候群や睡眠時無呼吸症候群睡眠とは異なり、睡眠の質には悪影響をおよぼさない点が特徴です。

上気道抵抗症候群

上気道無呼吸症候群は、睡眠時無呼吸症候群のように呼吸が停止することはないものの、周りの人が目を覚ますほどの大きないびきをかき、日中の傾眠や仮眠を引き起こす点が特徴です。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は他人から指摘されるほど大きないびきをかき、睡眠中の呼吸停止(無呼吸)や止まりかける状態(低呼吸)を何度も繰り返す点が特徴です。

成人男性のおよそ3%〜7%、成人女性のおよそ2%〜5%に見られ、中年男性もしくは閉経後の女性が発症しやすい傾向にあります。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると寿命にも影響するため注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群については後ほど詳しく解説します。

危険ないびきのチェック法

いびきは、睡眠の質に影響しない「単純性いびき」と日中の仮眠や健康状態の低下を招く「病的ないびき」に分けられます。

自分のいびきが危険かどうか、チェックリストで確認してみて下さい。
該当する項目が多いほど、病的ないびきの可能性があります。

いびきのチェックリスト

✓いびきが大きいと人から指摘される
✓自分のいびきで目を覚ますことがある
✓朝起きると喉がカラカラに乾いている
✓朝起きたときすでに疲れている
✓日中に眠くて仕方ない時間帯がある
✓夜中に何度も目が覚める
✓集中力が続かない
✓慢性的に鼻がつまっている
✓お酒を飲む習慣がある
✓ストレスが溜まっている
✓よく風邪をひく
✓首が太くて短い
✓BMIの数値が高い
✓高血圧である
✓あごが細くて小さい
✓更年期障害に悩まされている
✓疲労状態が続いている
✓睡眠時間が不規則である

いびきの原因

ひと口にいびきと言っても原因は以下のようにさまざまです。

  • 肥満
  • 疲労やストレス
  • ホルモンバランスの変化
  • 骨格
  • 口呼吸
  • 飲酒
  • 喫煙
  • アレルギー
  • 睡眠薬

ここでは、いびきの原因について解説します。

肥満

いびきは狭くなって喉を空気が通るときに起こりますが、太ると喉の脂肪が増加して上気道を狭くなり、いびきをかきやすくなります。

疲労やストレス

疲労が蓄積していると就寝中に筋肉が緩んで舌がのどに落ち込み、上気道が狭くなっていびきをかきやすくなります。
また、ストレス状態が蓄積すると夜間も交感神経優位の状態が続き、睡眠の質が低下していびきをかく傾向にあります。

ホルモンバランスの変化

男性のいびきは中年に多く見られますが、女性のいびきは閉経後に多く見られる傾向にあります。

その原因の1つがホルモンバランスの変化です。女性ホルモンの1つであるプロゲステロンには、呼吸中枢を刺激したり、上気道を広げたりする働きがあります。
そのため、閉経にともなって女性ホルモンの分布量が減少すると、いびきをかきやすくなります。

骨格

アジア人は欧米の方に比べて、下あごが後方に引っ込んでいる点が特徴です。
あごの骨が小さく下顎(下あご)が後方に引っ込んでいる方は、寝ているときに舌が喉へと落ち込んで空気の通り道が狭くなるため、いびきをかきやすいとされます。

また、骨格は遺伝するため、親兄弟がいびきをかく方は骨格が原因でいびきをかいている可能性があります。

口呼吸

習慣的に口で呼吸をしている方や、風邪などが原因で口呼吸をしている方は、いびきをかきやすい傾向にあります。
口呼吸をしていると下あごが後方へスライドし、上気道を圧迫して空気の通り道が狭くなるためです。

飲酒

過度のアルコールを摂取すると喉の筋肉が弛緩し、舌が喉へと沈み込んで空気の通り道が狭くなるため、いびきをかきやすくなります。

寝つきが悪いからと就寝前に飲酒をすると、眠れたとしてもいびきによって睡眠の質を低下させる恐れがあるため注意が必要です。

喫煙

タバコの煙には有害物質が多く含まれており、習慣的に喫煙すると上気道に炎症やむくみが生じ、いびきをかきやすくなります。

アレルギー

花粉症やアレルギー性鼻炎を発症すると、鼻腔内に炎症を起こして鼻呼吸が困難となります。
鼻呼吸ができないと口で息をするしかないため、いびきをかきやすくなる傾向にあります。花粉症の季節になるといびき治療の相談が増えるのもそのためです。

睡眠薬

睡眠薬のなかには喉の筋肉を弛緩させる医薬品があります。
喉の筋肉が弛緩すると、舌がのどに落ち込むためいびきをかきやすくなります。

いびきがひどい場合に考えられる病気

いびきがひどい場合に考えられる病気

周りの人に指摘されるほどのひどいいびきが続いている場合、以下の病気を発症している可能性があります。

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 咽頭扁桃
  • 甲状腺機能低下症
  • 耳鼻科系疾患

ここでは、いびきがひどい場合に考えられる病気について解説します。

睡眠時無呼吸症候群

いびきがひどい場合に考えられる代表的な病気が、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)です。
睡眠時無呼吸症候群を発症すると大きないびきをかくだけでなく、睡眠中に何度も呼吸が止まる点が特徴です。
欧米の方の場合、睡眠時無呼吸症候群を発症するのは肥満の方が多いですが、日本人は骨格の影響で痩せている方にも発症例が多く見られます。

睡眠時無呼吸症候群を発症すると夜間の睡眠の質が低下するため、日中の集中力が低下したり、耐えがたいほどの眠気に襲われたりします。
日中の眠気は居眠り運転などのリスクが増加し、最悪の場合は命に関わるため早めに治療をおすすめします。

咽頭扁桃

子どもが大きないびきをかく際に疑われる病気の1つが、咽頭扁桃(アデノイド)です。
咽頭扁桃を発症すると肥大した扁桃によって上気道が圧迫され、空気の通り道が狭くなっていびきをかきやすくなります。
特に症状がなければ経過を観察しますが、睡眠時無呼吸などの症状が見られる際には、扁桃を摘出する手術が検討されます。

甲状腺機能低下症

橋本病をはじめとする甲状腺機能低下症を発症すると、甲状腺ホルモンの減少にともなって舌が肥大したり、喉の筋肉が弛緩していびきをかきやすくなります。
中でも女性は年齢を重ねるごとに甲状腺ホルモンの分泌量が減少するため、いびき以外にも疲れやすさや倦怠感、冷え、むくみなどを併発する場合は内分泌科で相談してください。

耳鼻科系疾患

花粉症や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲症など耳鼻科系の疾患もいびきをかきやすくなる病気の1つです。
慢性的にくしゃみや鼻水などの症状がある方、季節の変わり目に鼻炎が出やすい方は、耳鼻科に相談することをおすすめします。

いびき放置してはいけない理由

いびき放置してはいけない理由

散発的ないびきや周りが気にならない程度のいびきなら問題ありませんが、周囲から指摘されるほどのいびきは何らかの病気が原因の可能性があります。
中でも重症の睡眠時無呼吸症候群を放置すると、最悪の場合は死に至る恐れもあるため注意が必要です。

厚生労働省の研究では睡眠1時間あたり20回以上の無呼吸、もしくは低呼吸が見られる場合、5年生存率が84%・8年生存率が60%と報告されています。
周囲からいびきを指摘される方は「たかがいびき」と侮らず、耳鼻科や睡眠外来などで専門的な検査を受けましょう。

自分でできるいびきの対策法

自分でできるいびきの対策法

いびきはQ・O・L(生活の質)を低下させるだけでなく、寿命を縮める恐れもあるため、普段から以下の対策を講じることがおすすめです。

  • ダイエットに取り組む
  • 寝具を見直す
  • ストレスを発散する
  • 生活習慣を見直す
  • 舌や喉の筋肉を鍛える

ダイエットに取り組む

肥満はいびきのリスクを増加させる大きな要因のため、日常的に運動をしたり、食事量をコントロールしたりして、ダイエットに取り組みましょう。

ダイエットによって二重あごが解消され、のどぼとけがハッキリ見えるようになれば、いびきも減ってくるでしょう。

寝具を見直す

寝具が柔らかすぎたり枕が高すぎたりすると、寝返りを自由に打てず、喉が圧迫されていびきをかきやすくなります。

寝具を選ぶ際には寝返りが自由に打てる硬さの商品を選び、枕は首のアーチに合った高さに調整できるものがおすすめです。

ストレスを発散する

ストレスが蓄積すると自律神経のバランスが乱れ、夜間になっても交感神経優位が続き、睡眠の質を低下させます。
普段から適度にストレスを発散し、睡眠の質を向上させることがいびきの解消にもつながります。

生活習慣を見直す

日常的に飲酒をする習慣がある方やタバコを吸う方は、お酒の量を減らしたり禁煙に取り組んだりするのがおすすめです。
また、なるべく早寝早起きを心がけて朝日を浴びると、体内時計がリセットされて睡眠の質を高める効果が期待できます。

舌や喉の筋肉を鍛える

舌はほとんどが筋肉でできているため、筋力が衰えると就寝時に喉へと落ち込み、いびきをかきやすくなります。
舌を鍛えるためには日常的に歯ごたえのある硬い物を食べ、舌を動かす体操に取り組むと効果的です。

いびきによる心身の不調がある方は医療機関を受診しましょう

いびきは子どもから高齢の方まで誰にでも見られますが、心身の不調をともなうようないびきは医療機関を受診して早めに改善することが大切です。
普段から鼻がつまっている方やアレルギーをお持ちの方は、耳鼻科を受診すると良いでしょう。
更年期障害にともない、いびきをかきやすくなった女性は婦人科を、甲状腺機能の低下が疑われる方は内分泌科を受診してください。

特に重症の睡眠時無呼吸症候群を発症している場合、寿命を縮めることが分かっているため、早急に対処することが重要です。

大阪本町メディカルクリニック・千里中央メディカルクリニックでは、睡眠専門医による診察を行っております。いびきの症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。また、当院が近くにない方も、お近くの医療機関にご相談ください。

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