「睡眠時無呼吸症候群」のお話②

大阪本町メディカルクリニックのブログ

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、

新幹線やバスなどの産業事故で、多くのメディアに取り上げられ

世間に認知されたという経緯がありますが、

注目されているのは様々な生活習慣病が合併するという点です。

 

睡眠は量も質も満たされていることが重要ですが、

睡眠中のトラブルにより適切な睡眠がとれていないと、

生活習慣病につながる危険性があります。

 

具体的な理由は、二つの大きな要因が考えられています。

「間欠的低酸素血症」と「交感神経の亢進」の2つです。

まず、「間欠的低酸素血症」についてです。

寝ている間に呼吸が止まったり、

空気の通り道である気道が狭くなったりすると、

十分な呼吸ができずに体内は酸素不足の状態になります。

 

しばらくして呼吸が再開すると、

体内に酸素が届けられるようになり、

酸素が充足されます。

 

しかしまた呼吸が止まると酸素不足になり、

しばらくしてまた正常に戻る…。

 

このように、酸素が足りない状態と正常な状態を

繰り返すことが「間欠的低酸素血症」です。

 

間欠的低酸素血症によって血管内皮細胞が障害される結果、

体内の炎症につながります。

 

次に「交感神経の亢進」です。

寝ている間は体を休め、回復させる「副交感神経」が

優位になることが知られていますが、

睡眠時無呼吸というストレス状態は脳が起きた状態になり、

睡眠が分断されると同時に交感神経が活性化されます。

 

寝ている間に本来優位ではない交感神経の活性が高まることで

体の自律調節機能のバランスが崩れ、

ホルモン分泌の異常や体内の炎症につながると考えられています。

2003年には「米国高血圧合同委員会第7次報告(JNC-7)」で、

日本でも「高血圧治療ガイドライン2009」において

睡眠時無呼吸が高血圧の原因の一つと位置づけられました。

 

睡眠時無呼吸症候群は様々な生活習慣病につながりますので、

次回にお話いたします。

 

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