「いびきが大きい!」と周囲から指摘されて悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか?
大きないびきをかいて寝ている人は一見熟睡しているように見えますが、実はその逆で、睡眠の質がとても低くなっています。
また、長期的にいびきが続くと睡眠の質が低下するだけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や心筋梗塞、脳血管障害などの重篤な病気に罹患する可能性も増加してしまいます。
今回の記事を読むことで、いびきに対して以下のような知識を得ることができます。
・いびきが大きい原因や特徴が理解できる
・いびきの大きい人が注意すべき病気を理解できる
・いびきへの対策法が分かる
周囲のパートナーや家族の睡眠を守るためだけでなく、ご自身の健康にも悪影響を与えてしまうため、いびきが大きい人は早期から対策を取るべきです。
いびきを解消して、心地よい睡眠と元気な毎日を手に入れましょう!
いびきが大きい人の特徴とは?
始めに、なぜ睡眠中にいびきをかいてしまうのでしょうか?
睡眠中に全身の筋肉が緩まり、舌の筋肉も弛緩してしまうと、舌根が喉の奥に落ち込んでしまい、空気の通り道である気道が狭くなってしまいます。
いびきは、狭くなった気道を空気が通過する時の振動音です。
つまり、様々な原因で気道が狭くなっている人は大きないびきをかきやすいと考えられます。
そこで、ここではいびきが大きい人の特徴や原因について解説していきます。
いびきが大きい人の特徴① 肥満
いびきの原因として肥満は最大のリスクであり、肥満の程度が進めば進むほどいびき症状の頻度も多くなることが指摘されています。
肥満が原因となる理由は、首周りに脂肪が付きやすく、気道が狭くなりやすいからです。
肥満の程度は一般的にBMI(=身長(m)÷体重(kg)÷体重(kg))で判断され、海外の報告ではBMI25-28kg/m2の成人の4人に1人がいびきをかくそうです。
また、国内で行われた研究でも、いびき症状を認めない患者群の平均BMIが22.7±1.4kg/m2であったのに対し、いびき症状を認める患者群の平均BMIは26.1±1.5kg/m2であったことから、いびきと肥満の強い相関性が報告されています。
特にBMI25kg/m2以上の肥満の方はいびきの頻度が多く、いびきが大きくなる傾向にあるため、是非ご自身のBMIを算出してセルフチェックしてみてください。
いびきが大きい人の特徴② 生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れもいびきの原因になります。
具体的に、下記のような生活習慣の方はいびきが大きくなる可能性があります。
・就寝前の過度な飲酒をする
・睡眠薬を常用している
・長期的な喫煙者
・暴飲暴食やカロリー摂取過多
就寝前の過度な飲酒は筋肉をさらに弛緩させてしまうため、舌根が後方に落ちやすくなり気道が狭くなる可能性が高まります。
また、睡眠薬の常用も飲酒と同様で、筋肉の弛緩作用があります。
長期的な喫煙は気道に持続的な炎症や浮腫をもたらすため、気道そのものが狭くなってしまいます。
暴飲暴食は肥満を助長し、首周りの脂肪を増加させてしまうため、気道の狭窄を引き起こします。
いびきが大きい人の特徴③ 口呼吸
いびきが大きくなる人の3つ目の特徴として「口呼吸」があります。
本来、人間は口呼吸ではなく鼻呼吸をしていますが、鼻が詰まっていたり、口の形状に問題があると口呼吸の割合が増加してしまいます。
口呼吸によって口が開くと下顎が下がってしまい、舌根がより後方に落ち込みやすくなります。
【引用】銀座コレージュ耳鼻咽喉科
その結果、気道が狭くなるためいびきが生じやすくなります。
いびきが大きい人の特徴④ 顔周りの骨格
顔周りの骨格によって生まれつき気道が狭い場合は、肥満などを認めなくても大きないびきをかきやすくなります。
具体的には、下記のような特徴の方です。
・首が太く短い
・顎が小さい
・舌が大きい
・顔面の奥行きが狭い
これらの特徴はどれも気道が狭くなる原因になります。
また、アジア人は欧米人と比較して頭が上下方向に長く顔面の奥行きが狭いため、顔が平たく見え、気道が狭くなりやすいという特徴があります。
いびきの大きい人が注意すべき病気とは?
いびきが大きいことによる問題として、同居者の睡眠妨害はもちろんですが、それ以外にご自身の健康問題が挙げられます。
いびきの原因となる病気や、逆にいびきによって発症リスクの増加する病気もあり、中には命に関わるような病気へ進展する可能性もあるため、いびきでお悩みの方は特に注意すべきです。
具体的に、下記のような疾患が考えられます。
睡眠時無呼吸症候群
いびきが大きい人が最も注意するべき疾患として、睡眠時無呼吸症候群が挙げられます。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に気道が狭くなることで呼吸が弱くなったり、もしくは一定時間完全に無呼吸になる病気のことです。
睡眠時無呼吸症候群に罹患すると睡眠の質が低下するだけでなく、呼吸が弱まることで持続的な低酸素状態に陥ってしまいます。
低酸素状態は身体に多大なストレスを与え、継続してしまうと高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす原因になります。
さらにその状態が続くと心筋梗塞や不整脈などを引き起こす可能性もあるため、早期から対策する必要があります。
扁桃肥大・アデノイド肥大
いびきの原因となる疾患として、扁桃肥大やアデノイド肥大が挙げられます。
呼吸によって口や鼻から侵入してくる病原菌をいち早く退治するために、口腔内には「扁桃」と呼ばれるリンパ組織が複数存在します。
【引用】おおた耳鼻咽喉科
扁桃のうち、最も大きい口蓋扁桃は3歳頃から大きくなり、7歳頃にピークとなり10歳頃には小さくなります。
しかし、生理的な肥大や慢性的な炎症による肥大によって、口蓋扁桃が通常より大きい状態を扁桃肥大と言い、気道狭窄の原因になります。
他にも、鼻腔の奥に存在する咽頭扁桃が肥大した状態をアデノイド肥大と呼び、こちらも気道狭窄の原因になります。
この場合、肥満や生活習慣の乱れがなくてもいびきをかいてしまうため、心当たりのある方は耳鼻咽頭科への受診を勧めます。
脳血管障害
脳血管障害はいびきの原因になることもあれば、いびきによって誘発される病気でもあります。
脳血管障害とは、脳出血や脳梗塞、クモ膜下出血など、脳の血管に異常をきたして脳が損傷する病気の総称を指します。
脳血管障害によって舌の運動に麻痺が生じると舌根が落ちやすくなり、いびきの原因となります。
また、睡眠時無呼吸症候群などを患っている方は、持続的な低酸素状態によるストレスによって脳血管障害の発症リスクも増加してしまいます。
脳血管障害によっていびきが生じ、いびきによっても脳血管障害の発症リスクが増加するため、いびきをお持ちの方は注意が必要です。
いびきが大きい場合には専門治療や早期治療を
これまで、いびきに対してすぐに行える対策を解説してきましたが、いびきが大きい場合はこれらの対策では不十分な可能性もあります。
そこで、いびきが大きい方は医療機関を受診し、睡眠外来診療やCPAP療法などの専門治療を検討すべきです。
それぞれについて詳しく解説します。
睡眠外来
いびきが大きく、睡眠時無呼吸症候群などを疑う場合、睡眠外来への受診をお勧めします。
睡眠時無呼吸症候群の診断のためには、専門的な検査が必要だからです。
具体的には、睡眠中の呼吸の量や質を評価するための特殊な検査であるポリソムノグラフィー検査を受ける必要があります。
CPAP治療
いびきが大きく、中等度や重度の睡眠時無呼吸症候群を認める方にとっては、CPAP療法が治療の第一選択となります。
CPAP療法とは、睡眠中に口や鼻を覆う特殊なマスクを装着し、持続的に空気を送って圧をかけることで気道の狭窄を防ぐ治療法です。
大きないびきは放置せず医療機関へご相談を
今回の記事では、大きないびきをかいてしまう方に向けて、原因や対策法、注意すべき病気などを詳しく解説しました。
いびきが大きい場合、ご自身の健康を害するリスクも高くなるため、早期から適切な対策を行うべきです。
特に、睡眠時無呼吸症候群のような危険な病気が隠れている可能性もあるため、自己判断せず早期に医療機関を受診することをオススメします。
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