睡眠と肥満の関係性

なぜ睡眠不足が肥満につながるのか?

 

メカニズムとしては、食欲関連ホルモンの関与が考えられます。

食欲は、胃から分泌されるグレリンによって亢進し、脂肪組織から分泌されるグレリンによって抑制されていますが、睡眠が不足するとグレリンが増えて、レプチンが減少します。

さらに、グレリンの増加と、レプチンの減少は、共にオレキシンを増加させます。

オレキシンは、覚醒をコントロールするとともに、視床下部の弓状核に働いて食欲を亢進させる働きがあります

結果として、睡眠不足により食欲が亢進するわけです。

これは健常人を対象とした実験的研究で確かめられており、2日間十分睡眠を取ったあとに2日間4時間睡眠にすると、血中のグレリンは28%の増加、血中レプチンは18%低下、空腹感や食欲も23%増加、特に高糖質食に対する食欲が32%も増加しました。

 

睡眠時間が短くなると食欲が増えるというと

 

食欲が増えてエネルギー摂取が増える一方で、近年ではデスクワークが増えているだけではなく、疲労感や日中の眠気から活動量が低下して、エネルギー消費が低下するため、睡眠不足は肥満の原因となります。

それだけではなく、睡眠不足では交感神経優位を招くため夜間のコルチゾールが亢進します。その結果、インスリン抵抗性(効きやすさ)の増大と耐糖能の低下(血糖値を下げる作用)が起き、糖尿病にも関与します。

 

睡眠時間が長いと肥満にはならないのか

 

睡眠時間が不足するというのは、先ほどのメカニズムで証明されましたが、逆に9時間以上の睡眠時間をとっている方も肥満の傾向があります。

長く寝るようになる背景に、何らかの疾患による疲れやすさがあるなど、通常とは異なる要因が隠れている可能性があります。

また単純に、長く寝ることによって活動性が低下して、エネルギー消費が低下しているということも考えられます。

長時間睡眠と肥満との関係はまだ検討が必要ですが、短時間睡眠が肥満と関連しているということは明らかですね。

 

監修者情報・医師 松島勇介

松島勇介院長

こちらの記事は松島勇介医師監修のもと作成しております。
詳しい経歴やご挨拶についてはこちらの紹介ページをご覧ください。

医師松島勇介からみなさまへご挨拶

入眠障害の方は受け付けておりません
入眠障害の方はこちら

 

本町の内科・睡眠科は大阪本町メディカルクリニック

〒541-0052 大阪府大阪市中央区安土町3丁目3−5 イケガミビル5階
TEL 050-3161-5913