日本は、世界一の「睡眠負債大国」
2017年のユーキャン新語・流行語大賞のトップ10にランクインして注目を集めた「睡眠負債」、日本でも睡眠の重要性が再認識されるようになってきています。
アメリカでは,1990年代に眠気による睡眠障害が社会的に注目され,睡眠について幅広く啓発し,睡眠障害の早期発見・早期治療を促進するための、全国的なキャンペーン活動“Wake up America”が展開されてきた.
その中でも「睡眠負債(sleep debt)」という言葉は、スタンフォード大学のウィリアム・C・デメント教授が呼び始めた言葉で、積み重なる睡眠不足に警鐘を鳴らすためのものでした。
本来、毎日7時間の睡眠を必要とする人が、何らかの理由で6時間しか眠らなかったとします。この1時間の睡眠不足は、1日では睡眠負債と言いません。この睡眠不足が何日も重なり、睡眠不足が継続して慢性化すると、睡眠負債の状態となります。 睡眠負債は、日中のパフォーマンスを下げるだけでなく、さまざまな健康リスクにつながります(|睡眠不足は万病に繋がる)。
睡眠不足と睡眠負債はどう違うのか
「手持ちのお金が足りず、借りるが、すぐに返済できる状態」が「不足」です。
一方で「借りがどんどんふくらみ、返すあてがなくなり、手詰まりの状態」が「負債」です。このようなイメージとなります。つまり、睡眠負債は、週末の2~3日寝だめでたっぷり眠ったくらいでは解消することはできません。また、これは現実のファイナンス事情とはことなる点ですが、事前に“寝だめ”をする、つまりは予め貯金もすることはできないのです。
週末の寝だめでは、睡眠負債は返せない
睡眠負債がたまっていると、休日に長く寝てしまいがちです。目安として、平日よりも休日の睡眠時間が2時間以上長い方は、平日に睡眠不足が続いている可能性があります。
この「寝だめ」によって、平日の睡眠不足をおぎなえるように思うかもしれませんが、2~3日では睡眠負債は解消できません。
一つの実験をご紹介します、10時間は明るい場所でふだんの生活をし、14時間は暗い部屋でベッドに横になるという実験が行われました。
被験者は8名いて、もともとの睡眠時間は、平均7時間36分でした。初日には平均12時間ほどたっぷりと眠りましたが、どの被験者も日を追うごとに睡眠時間は短くなっていき、3週間ほど経つと平均の睡眠時間はおよそ8時間15分に落ち着きました。つまり、この8時間15分というのが被験者たちにとって必要な睡眠時間だったのです。
もともとの睡眠時間は平均7時間36分だったので、だいたい毎日40分ほどの睡眠不足が積み重なり、睡眠負債の状態になっていたのです。
そしてこの40分の睡眠負債を返すのに、およそ3週間もかかりました。数日の睡眠不足ではなく、睡眠不足が慢性的に継続することによる睡眠負債はこれだけ解消するのに時間がかかるのです。
週末の寝だめはほどほどに
これまで述べたように睡眠負債は簡単に解消できないのですが、週末や休みの日には朝寝坊もしたいものです。
ある研究によると、一週間ずっと寝不足でいるよりは、週末だけ寝だめをするほうが、死亡率は低くなるようです。
ただし、週末に寝だめをすることで、「睡眠圧」が高まり休日の眠気が強くなったり、「体内時計」の概日リズムが乱れることで、平日の眠気も強くなったりすることがあります。
週末のあとには平日がやってくるため、生活のリズムが乱れてしまうのです。
やはり、毎日の不足を積み重ねないように、1日24時間から睡眠時間を差し引いて、その他のやるべきこと)(must)、やりたいことを(want)を行うようにするのが良いですね。
コメントを残す