旦那さんの睡眠中に、呼吸が止まっていると感じることがありませんか?
数秒のことだから心配ないかなと思われるかもしれませんが、実は深刻な病気のサインである可能性もあります。
この記事では、そんな睡眠中の呼吸停止について以下のことが分かります。
・寝ているときに呼吸が止まっているのは、何が起きているのか
・病院を受診した方が良いのかどうか
・自分で改善する方法
深刻な病態でも、長期間続くことで、それが普通の状態と誤認することで、自覚症状を感じにくいため受診するほどではないと思われるかもしれません。
この記事を読んで受診の必要性を知り、重大な病気の発症や、今日からできる合併症の予防を実践してゆきましょう!
寝ている間に旦那さんの呼吸が止まっていることはありませんか?
旦那さんが大きないびきをかきながら寝ていたかと思うと、急に静かになる…。
静かになって良かったと思う反面、これって呼吸はしているの?と心配にもなりますね。
もしかしたらそれは「睡眠時無呼吸症候群」という病気の可能性があります。
いびきの正体は、就寝中に狭くなった気道に空気が通り、抵抗によって音が発生している状態です。
そして、いびきが急に静かになったときには、それまで開いていた気道が完全に塞がってしまったことを意味しているかもしれません。
つまり、いびきをかいている時点で体は酸素が不足し、いびきが聞こえなくなったときは酸素が完全に遮断されている可能性があります。。
酸素が人の体に必要不可欠であり、疲労回復や睡眠の質に大きく関係します。
その酸素が不足、または全く入らないという事態はとても危険な状況です。
しかし、旦那さんに伝えても「いびきなんて普通のこと。心配し過ぎ」などと言われてしまうのではないか、もしかしたら怒ってしまうのではないかと相談するのを躊躇する気持ちになってしまうかもしれません。
いびきや、それに続く無呼吸は命にも関わる合併症を引き起こすリスクがあります。
「たかがいびき」と思わず、早期に受診し、治療を受けましょう。
就寝中に呼吸が止まるのは睡眠時無呼吸症候群かもしれません
ここでは、睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう病気である「睡眠時無呼吸症候群」がどんな病気なのか、病院を受診する目安や治療の概要などについてご紹介します。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは「睡眠中に10秒以上の無呼吸(呼吸が止まる)や低呼吸(呼吸が弱くなる)が、1時間に5回以上繰り返される状態」を指します。
睡眠中は喉の筋肉が緩むため、ある程度気道が狭くなることは正常です。
しかし、以下のような原因であまりに空気の通り道が狭くなってしまうと、寝ている間に気道の大部分が塞がりかけたり完全に塞がってしまったりします。
・肥満でのど周辺の脂肪が多いため、気道が狭い
・のど周辺の筋肉が弱かったり少なかったりするため、舌がのどに落ちやすく気道が塞がりやすい
・扁桃腺肥大や顎が小さいなど生まれつき気道が狭い
そして、睡眠中の無呼吸や低呼吸によって低酸素状態になり体が休まらないため、以下のような症状がみられます。
・日中の強い眠気
・活動時間帯のパフォーマンス低下
・寝た気がしない、疲れが取れない
・夜中に何度も目覚める
・睡眠不足による気分の落ち込み
・高血圧
・動脈硬化
睡眠時無呼吸症候群は、上記のように自覚症状では深刻には感じにくいです。
しかし、睡眠時無呼吸症候群によってもたらされる合併症は以下に紹介するように非常に危険なものが多いため、早めに受診することが大切です。
睡眠時無呼吸症候群を放置するのは危険??
睡眠時無呼吸症候群によって招かれるものとして注意しなければならないものは、合併症の発症や、日中の眠気や疲れなどによる思わぬ事故があります。
睡眠中に無呼吸または低呼吸を繰り返すと、身体が低酸素状態になり、より多くの酸素を取り込もうと過大な呼吸となり、交感神経が亢進します。
その結果、心臓の負担増加や血圧の上昇などが起こります。
低酸素血症や、血圧の上下による炎症性サイトカインの発現によって、ボロボロになった血管は脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)や心疾患(狭心症・心筋梗塞)を合併症として発症することがあるのです。
また、睡眠時無呼吸症候群になると、睡眠の質は大きく低下します。
そして、十分に寝られないことで日中に強い眠気に襲われ、事故を起こすリスクがあります。
バスやトラック、新幹線の運転手さんが、睡眠時無呼吸症候群によって日中に強い眠気に襲われて、重大な産業事故をまねいてしまったのは記憶に新しいかもしれません。
「たかがいびき」などと考えずに、早期に受診し必要なら治療を開始しましょう。
放置することで、事故や病気など取り返しのつかない事態を招く可能性もあるのです。
いびきの危険性と病院に行く目安
病院に行く目安は、次のうちひとつでも当てはまるならば、できるだけ早い受診をお勧めします。
・日常的にいびきをかいている
・就寝中、時々呼吸が止まっているような気がする
「いびきくらい普通だよ」と思われる方も多いかもしれません。
確かに、風邪などで鼻が詰まったときや飲酒などによって一時的にいびきをかいているだけならば体への影響は限定的と考えられます。
しかし、常にいびきをかいているのならば、睡眠中の低酸素を繰り返し、すでに様々な悪影響を及ぼしている可能性があります。
検査を受け、心配ないびきかどうかを確認することが大切です。
また、以下のような症状がないかご家族に聞いたりご自分で振り返ったりしてみてください。
改めて考えてみることで、気づくこともあるかもしれません。
【睡眠について家族など周りの人に聞いてみること】
・日常的にいびきをかいているか
・睡眠途中で呼吸が止まっている感じがするか(急にいびきが途切れ、また再開する)
・睡眠中に苦しそうに呼吸をしているときがあるか
独り暮らしの場合は、スマートフォンなどで録音していびきの有無を確認すると良いでしょう。
専用のアプリも様々開発されているので利用してみるのもお勧めです。
【睡眠についてご自分で振り返ってみること】
・睡眠時間は確保できているはずなのに、寝た気がしなかったり、倦怠感が強かったりしないか
・睡眠時間は確保できているはずなのに、日中強い眠気に襲われることはないか
・夜中にトイレでよく起きることはないか
また、もし体重増加と共に急にいびきが増えているのならばそれは脂肪が増えたことでいびきが日常的なものになりつつあるかもしれません。
心当たりがある場合は受診を検討しましょう。
いびきに対する対処法・治療法
睡眠時無呼吸症候群の治療は、肥満などの根本の原因に対処しつつ、就寝時にCPAPやマウスピースを使って睡眠中の無酸素状態を改善します。
睡眠時無呼吸症候群の治療① 原因に対処する
肥満が原因と考えられる場合は、食生活の改善や運動によって体重管理(減量)を進めます。
鼻づまりなど耳鼻科的な原因で気道が狭くなっている場合には、その治療も考慮します。
また、生まれつき扁桃腺が大きいなどの原因がある場合、気道を広げるための手術を検討することもあります。
睡眠時無呼吸症候群の治療② CPAP(シーパップ)療法:経鼻的持続陽圧呼吸療法
睡眠時に鼻マスクをつけ、機械から気道へと空気を送り込む治療です。
患者さんに合った圧力で空気を送り続けるので、睡眠中の気道閉塞を防ぎながら呼吸ができます。
睡眠中の酸素欠乏が無くなり交感神経が抑えられるため、それまでとは比べ物にならないほど熟睡できるという方が多いようです。
質の良い睡眠をとれることで、血圧の安定や睡眠不足からくる事故の予防にもなります。
睡眠時無呼吸症候群の治療③ 睡眠時にマウスピースを装着する
睡眠中に下あごが落ち込むと無呼吸を起こしやすくなるため、オーダーメイドの特殊なマウスピースによって下あごの落ち込みを防ぎ、気道の閉塞を防ぎます。
CPAPに比べて手軽に装着でき、睡眠中の違和感が少ないと感じる方が多いので取り組みやすい治療です。
反面、効果は無呼吸を半分ほどに抑える程度と言われており、重度の睡眠時無呼吸症候群に対しては不十分かもしれません。
旦那さんが睡眠時無呼吸症候群だと奥さまも体調を崩す?
睡眠時無呼吸症候群では、旦那さんだけでなく一緒に寝ている奥さまも体調不良になることが珍しくありません。
それは旦那さんのいびきや無呼吸が気になって、奥さまの睡眠の質も低下するためです。
睡眠の質の低下は、以下のような体の不調を招きます。
・免疫力の低下
・ホルモンが乱れ食欲が増進することで、肥満になりやすい
・高血圧、脂質異常症、糖尿病など生活習慣病の発症
・うつや認知症などの精神疾患
・集中力低下、ケアレスミス増加、作業効率低下
ついつい食べ過ぎてしまったり、高血圧、気持ちの落ち込みなどがあるのは、もしかしたら睡眠の質の低下が原因かもしれません。
旦那さんが睡眠時無呼吸症候群の治療を開始し、いびきなどが軽減することで、奥さまの睡眠の質が改善する可能性があります。
それでも奥さまの症状に改善が見られなければ、旦那さんの睡眠時無呼吸症候群の治療と並行して、奥さまも受診しましょう。
いびきの危険性について自己判断せず早期受診を
「この程度のいびきなら受診する必要はないだろう」と自己判断することは非常に危険です。
日常的にいびきをかいているのならば、まずは受診し、治療が必要かどうか相談しましょう。
いびきは「よくあること」と片付けられがちですが、もし睡眠時無呼吸症候群であれば、その合併症は命に関わります。
治療が必要であれば、治療を進めながら併せてダイエットや生活習慣を改めることで効果がアップするでしょう。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は事故や合併症さえ起こらなければ、もしかしたらそんなに深刻には感じられない病気かもしれません。
しかし、事故や合併症が起こってからでは取り返しがつかないのです。
「毎日いびきをかいているな」
「寝ているときに呼吸、止まっていない?」
このようなことに気づいたら、できるだけ早く受診し、事故や合併症を未然に防ぐことが大切です。
ご夫婦ともに質の良い睡眠で、健康的な毎日を送りましょう!
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