医療ダイエットは安全?危険性や痩せない人の特徴も解説

医療ダイエットは安全?危険性や痩せない人の特徴も解説

GLP-1受容体作動薬を用いた医療ダイエットは、満腹感を持続させて食欲を抑える効果が期待できます。過剰な運動や食事制限をせずともダイエット効果が期待できる反面、適切に使用しないと思ったような効果が得られないことや、副作用などの危険性もあります。
本記事は下記のような方におすすめです。

  • 医療ダイエットがなぜ痩せるか知りたい
  • 医療ダイエットの副作用が気になる
  • 医療ダイエットで効果を得られないケースを知りたい

医療ダイエットを検討中の方は、危険性や副作用をしっかり理解し、不安を解消しましょう。

GLP-1ダイエットはなぜ痩せる?

GLP-1ダイエットでは、痩せホルモンと呼ばれる「GLP-1」と同じ効果をもつGLP-1受容体作動薬によって体重減少効果を得ます。
体重が減少する理由は、GLP-1に2つの効果があるためです。

  • 胃排出遅延作用
  • 中枢神経系における食欲抑制作用

GLP-1の作用によって、胃の蠕動運動が抑制されるため、摂取した食事がなかなか排出されなくなり、満腹感が維持されやすくなります。
また、GLP-1は視床下部や扁桃体など脳のさまざまな部位に作用し、直接的に食欲を抑制する効果を持ちます。
この2つの効果こそ、GLP-1ダイエットで体重減少効果を期待できる要因です。

実際に、国内で実施された臨床試験では、GLP-1受容体作動薬「エキセナチド」の10μg投与群と非投与群で体重の変化を計測したところ、非投与群では-0.47±0.39kgであったのに対し、投与群では-1.54±0.27kgと有意な減少を認めています。
そのほか、血糖値が上昇した時にインスリン分泌を促進する効果もあり、糖尿病治療薬としても医療現場で広く使用されている薬です。
【参考】J STAGE-GLP-1 受容体作動薬の体重減少効果

GLP-1受容体作動薬による医療ダイエットの危険性

GLP-1受容体作動薬による医療ダイエットの危険性

GLP-1受容体作動薬には確かに体重減少効果が認められますが、素人判断で不適切に使用すると下記のような危険性もあります。

  • 副作用がある
  • 粗悪品の可能性
  • 過度な運動には要注意

【参考】J STAGE-GLP-1受容体作動薬の分類と作用機序,使用上の注意点
サノフィ株式会社-Lyxumia
厚生労働省-GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について
厚生労働省-医薬品等を海外から購入しようとされる方へ
北海道大学大学院医学研究院糖尿病・肥満病態治療学分野-GLP-1受容体作動薬

副作用がある

医療ダイエットに用いるGLP-1受容体作動薬の注意すべき副作用は主に3つです。
それぞれの症状や対策について紹介します。

  • 低血糖
  • 消化器症状
  • 急性膵炎

低血糖

GLP-1受容体作動薬の副作用として、低血糖が挙げられます。
GLP-1受容体作動薬に限らず、全ての糖尿病治療薬には効果が強く出すぎた結果、低血糖症状が出現する可能性があり注意が必要です。
主な症状は脱力感、高度の空腹感、冷や汗、 顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常などです。

一方で、他の糖尿病治療薬は内服とともに血糖を下げてしまいますが、GLP-1受容体作動薬はあくまで血糖値が高くなった時にその作用を発揮するため、単独で使用した場合の低血糖リスクは低いという特徴があります。
低血糖症状が出た場合は、糖分を含む飲み物やアメなどをすぐに摂取して、血糖値を上げるように対策しましょう。

消化器症状

GLP-1受容体作動薬の副作用として、消化器症状が挙げられます。
GLP-1には胃の蠕動運動を抑制する作用や腸管での糖の吸収を遅らせる作用があり、関連して悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛などの消化器症状が比較的高頻度に出現します。

さらに、腎機能が悪い方の場合は血中濃度が高くなりやすく、より消化器症状が出現しやすいことが知られているため、注意が必要です。
これらの消化器症状は製剤の反復投与により減弱することが多いと知られており、添付文書通りに低用量から慎重に投与を漸増していくことが重要です。

急性膵炎

GLP-1受容体作動薬の副作用として、急性膵炎が挙げられます。
GLP-1が急性膵炎を引き起こすメカニズムは現在でも明確にはなっていませんが、インスリン分泌増加やグルカゴン分泌抑制など、膵臓に影響を及ぼす作用が関与していると考えられています。
急性膵炎は非常に重篤な病態であり、激しい腹痛や発熱、最悪の場合敗血症性ショックによって死に至る可能性もあるため、注意が必要です。
もし、上記のような症状を認めた場合は、医療ダイエットは一旦中止し、近隣の医療機関に至急受診しましょう。

粗悪品の可能性

医療ダイエットに用いるGLP-1受容体作動薬は、海外から個人輸入することは控えましょう。
粗悪品の可能性もあり、思ったような効果が得られないばかりか、新たに健康被害が生じる可能性もあります。

通常、日本国内で医薬品医療機器等法を遵守して販売等されている医薬品については、それを適正に使用したにもかかわらず重大な健康被害が生じた場合に、その救済を図る公的制度(医薬品副作用被害救済制度)があります。
しかし、個人輸入された医薬品による健康被害については救済対象となりません。
先述したようにさまざまな副作用もあるため、正規の医療機関で医師の指導のもとで治療しましょう。

過度な運動には要注意

GLP-1受容体作動薬を用いた医療ダイエットでは、過度な運動や食事制限は控えるべきです。
痩せたいあまりに無理すると血糖値が急激に低下し、低血糖リスクが増加するため、注意が必要です。
過度な運動や食事制限は控え、規則正しくバランスの良い食事・適度な負荷の有酸素運動に留めましょう。

医療ダイエットに不向きな人の特徴

医療ダイエットに不向きな人の特徴

医療ダイエットは誰でも痩せられる訳ではなく、効果が得られにくいケースもあります。

  • 乱れた食生活
  • 運動不足
  • BMI35未満

上記の特徴をもつ方は医療ダイエットには不向きであるため、注意が必要です。

乱れた食生活

食生活が乱れている方は医療ダイエットに不向きです。
医療ダイエットはあくまで胃の蠕動運動を遅らせ、中枢神経系に働き食欲を低下させることで体重減少効果を得ます。
そのため、食事量が落ちない方やジャンクフードを好んで食べる方の場合、摂取カロリーを落とせないため、効果を得られにくいです。
医療ダイエットを契機に、規則正しいバランスのとれた食生活を意識しましょう。

運動不足

運動不足の方も医療ダイエットには不向きです。
過度な運動もよくありませんが、全く運動せずにデスクワークなどで過ごしている方も消費カロリーが少なく、思ったような効果が得られません。
ランニングや水泳など、身体に負担の少ない有酸素運動を併用すると効果的です。
食生活とともに、運動習慣も身につけることを意識しましょう。

BMI35未満

BMI35未満の方も医療ダイエットには不向きです。
BMIとはBody Mass Indexの略で、体重÷身長÷身長で算出される肥満度を示す指数です。

医療ダイエットに用いられるGLP-1受容体作動薬は、海外の臨床試験を含めてもBMI35以上の患者データがほとんどであり、BMI35未満での安全性を確認できていません。
BMI35以上というと、身長160cmの方で体重95kg以上、身長170cmの方だと体重102kg以上になるため、多くの日本人にはなかなか適応されないことがわかります。
BMI35未満の方では効果よりも副作用が強く出てしまう可能性があるため、医師の指導のもと、慎重に医療ダイエットを行う方がよいでしょう。

まとめ

今回の記事では、医療ダイエットの危険性について詳しく解説しました。
GLP-1受容体作動薬を用いた医療ダイエットは自然と食欲を抑制してくれるため、厳しい食事制限や過度な運動を行わなくても体重減少が期待できます。
一方で、低血糖や急性膵炎などの重篤な副作用の危険性もあり、素人判断で使用することは絶対に避けるべきです。

医療ダイエットを検討されている方は、事前にその危険性やリスクを十分理解した上で、専門の医療機関で治療するように心がけましょう。

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