いびきは日常的によくあることで、放置していても大丈夫と思っていませんか?
実はいびきは体が送る重要サインであり、重大な疾患に繋がるリスクを秘めています。
今回はいびきの原因から身体への影響をまとめ、実際の治療までを紹介していきます。
いびきのセルフチェック
いびきを自分で自覚するのは非常に難しく、寝ている間には気づかないことがほとんどです。
あなた自身のいびきを知るために、簡単なセルフチェックを始めていきましょう。
いびきを指摘されることが増えた
生活を振り返っていびきを指摘されたことがあるかを思い出してみてください。
友だちと旅行に行ったときやパートナーと一緒のベッドで寝たとき、いびきについて指摘されたことはありますか?また、昔はなかったはずなのに、最近になって急に指摘される頻度が増えているといったことはありませんか?
もし、いびきを指摘されることが増えている場合には、放置せずに一度ご相談ください。
朝起きたときに疲れが残っている
いびきについては、周りの方に確認してもらうのが最も簡単な発見方法です。
しかし、独身の場合や他人と一緒に寝る機会がない場合には、朝起きたときの状態を振り返ってみてください。
しっかり寝たはずなのに、疲れがとれず、体が重く感じたり、気分が乗らないという自覚症状はありませんか?これは、いびきによって良質な睡眠が妨げられている可能性があります。
中途覚醒がある
3つ目のセルフチェック項目は中途覚醒です。
いびきの背景には、呼吸の不安定さがあり、呼吸の乱れにより脳の覚醒反応が誘導されることがございます。
意識の中で、自分のいびきが聞こえる、息が止まっていて目が覚めるという方は、危険なサインです。意識がなくとも中途覚醒が出てきた場合には、一度いびきが無いか確認をしたほうが良いですね。
いびきの原因とは
続いて、いびきの原因についてまとめていきます。
いびきには必ず原因が存在し、原因を把握することでいびきの改善や治療につなげることができます。
肥満や生活習慣病
いびきの大きな原因としては肥満や太りすぎが挙げられます。肥満の判定方法としてはBMIがありますが、25を超えてる場合には要注意です。
参照:厚生労働省公式HP
肥満や太りすぎに太り過ぎによって、舌や首回りの脂肪が増え、気道を圧迫している可能性があります。健康診断で肥満を指摘されたり、体重が急激に増えているときには、注意が必要です。
飲酒
いびきの原因としてはアルコールの飲酒習慣です。特に寝る前の飲酒や寝酒は筋肉を弛緩させてしまい、就寝時の副交感神経優位による生理的な筋肉弛緩と重なり、いびきを誘発します。
適切な飲酒量は1日に日本酒1合、ビール・チューハイ350mL缶1本とされており、いびきを指摘されることが増えている場合には、飲酒量を意識し始めてみてください。
参照:厚労省公式HP 飲酒のガイドライン
飲む時間を調整し、就寝前の2時間前までにはアルコールを体に入れないなど生活スタイルの工夫も必要でしょう。
加齢
3つ目の原因は加齢です。加齢に伴い、舌の筋肉の衰えが進んだり、首回りの脂肪が垂れ下がりやすくなります。
50歳を超えると基礎代謝の低下により、消費カロリーが減少すると言われていることからも、脂肪がつきやすく落ちにくい体になります。40代、50代に入り、いびきが増え始めた場合には、いびきが悪化していく可能性もあり、受診をおすすめしています。
いびきによる体への影響
いびきは睡眠の質を妨げることから体への影響が懸念されます。
ここではいびきによって誘発される体への影響を確認してください。
睡眠の質の低下
いびきは呼吸に乱れを引き起こし、ストレス反応として睡眠の質を低下させます。
これによって、寝不足を誘発し体の疲れを回復させにくい状態になります。
睡眠時間は確保しているのにも関わらず、いびきによって睡眠の質が低下してしまうのは気づかぬうちに損失をだしていると言えます。
日中のパフォーマンス低下
睡眠の質が低下することで、日中のパフォーマンス低下にも繋がります。
仕事中にあくびが出てしまったり、集中しなければならない会議に集中できなかったりと、日常的な影響が考えられます。
経済的損失にもつながる
2016年、アメリカのシンクタンク・ランド研究所の調査報告によると、睡眠不足による経済的損失が明らかになっています。日本やイギリス、ドイツ、カナダ、アメリカなど主要5か国を対象にして行われた調査では、日本人の睡眠不足により、健康リスクなどが上昇し仕事の生産性を低下させていると報告されています。
いびきを放置してはいけない理由
いびきは日常生活に対して大きな影響を与えますが、いびきの早期治療をすすめるもう一つの理由があります。
それは生命に関わるような危険性が潜んでいます。
いびきに潜む睡眠時無呼吸症候群
いびきの中でも最も注意が必要なことは、睡眠時無呼吸症候群を伴ういびきです。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠時に呼吸が止まる無呼吸状態が発生する疾患を指します。
無呼吸とは10秒以上の呼吸停止状態を指し、1時間に5回以上または7時間の睡眠時に30回以上発生する場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
参照:睡眠時無呼吸症候群診療ガイドライン
いびきをかく場合、いびきが進行すると、気道がより狭くなり空気が流れるスペースが極端に減少し、低呼吸となります。さらに気道が閉塞すると、無呼吸になりやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群の危険性
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の血中酸素濃度の低下や、呼吸再開時の覚醒反応により、熟睡を妨げ睡眠の質を低下させることにつながります。
睡眠時無呼吸症候群は日中の眠気を引き起こし、これまでに自動車事故や居眠り運転など重大な事故の原因としても取り上げられています。
また、高血圧や心血管危険因子誘発にもつながることが報告されており、心血管イベントの発生率上昇、狭心症や心筋梗塞のリスクの増加など数多く報告されています。
最近になって、日中の眠気があったり、いびきを指摘されることが増えている場合には特に注意が必要です。
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