CPAP治療継続のためには、治療データの説明が不可欠

閉塞性睡眠時無呼吸症候群OSASでは、上気道が閉塞しても胸郭の呼吸運動は持続するため胸腔内圧は陰圧化し、胸腹部の呼吸運動の移送逆転が起こり、右心房への静脈還流は増加する。OSAS患者の夜間の排尿は、CPAP治療で改善することが報告されている。

その機序についてはBNPの関与や睡眠の分断化が影響するとの報告がある。

OSASは、心血管系疾患を合併する頻度が高いことや日中の過度の眠気のために交通事故率が高くなり、日常業務能力が低下することもしてきされており、適切に治療を継続する必要がある。

診察は、顔貌や口腔所見(小顎症、下顎後退、軟口蓋低位、舌肥厚、扁桃肥大)の視診に加えて、併存疾患(高血圧、脂質異常症、糖尿病、鼻・アレルギー、精神の各疾患)や服薬状況にも注意する。

OSASは主観的眠気の質問票としてESSが使用されるが、これはナルコレプシー、特発性過眠症や睡眠不足症候群でも高値となり、それが点数とOSASの重症度との相関は必ずしも高くないと指摘されている。

そのためESSの点数だけで、OSASの可能性を否定すべきではない。

OSASらしさを判定する質問票として、STOP-Bang質問票があり有用である。

 

OSASの検査には、自宅で実施可能な酸素飽和度低下指数(ODI)を測定する終夜パルスオキシメトリー検査と呼吸障害指数(RDI)を測定する簡易睡眠検査がある。

これは正確な睡眠時間が記録できないため、補完的検査を考える。

医療機関で実施する検査は、PSGがあり睡眠障害の診断には必須である。

睡眠中の上気道は、側臥位よりも仰臥位で、ノンレム睡眠よりもレム睡眠で閉塞しやすいくなることを念頭に結果の解釈をする。

OSASの治療としては、本邦では、CPAP療法と歯科による口腔内装置(oral appliance)があり、時には手術(扁桃摘出など)も選択される。

OAは、軽症から中等症までの方で、BMIが低い若年者に対しては有効であるが、その効果はCPAPには及ばないとする報告が多い。CPAP治療困難例や出張などのCPAP治療の代替治療として考えるべきである。

扁桃摘出術は、若年者で、非肥満、中等症以下で扁桃肥大が主要な原因と考える場合に限り適応と考える。

その他にもOSASの改善を図る方法として、減量、睡眠体位の工夫が挙げられるが、減少は困難を伴い、体位の工夫の効果は不確実である。

 

CPAP治療は、OSAS治療の第一選択で、近年では呼気時に陽圧を減弱する機能、治療開始圧を修正する機能、いびきや換気気流の低下を感知して治療圧を調節する機能などが搭載され、機械の性能は向上している。

治療開始当初にマスクの違和感、鼻閉・鼻汁、気道の乾燥などを訴えることがあり、その対処も事前に十分に説明する必要がある。

また年間を通して、花粉症対策、暑さ対策、上気道炎時の対策なども随時説明して、常に治療データを確認し患者さんが安心して治療ができるように配慮を行う。

そして、患者さん自身がどのように、自覚症状や他覚症状が変化しているのかを把握するためにも、

毎月のCPAP使用データを有効活用して、自身の睡眠の質を知るというのが重要であると、臨床を通じて感じている。

 

監修者情報・医師 松島勇介

松島勇介院長

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