深部静脈血栓症
深部静脈血栓症とは、身体の深くにある静脈に血栓が生じる病気です。
多くは下肢静脈に生じることが多く、エコノミークラス症候群として肺塞栓症を引き起こすこともある病気です。
深部静脈血栓症は、長時間のフライトやバス移動をきっかけとして発症するリスクが高まります。
下肢を動かし筋肉のポンプ作用を働かせることで発症リスクを下げることができるため、適度な運動で血液を循環させることが重要です。
原因
下肢は重力の関係から多くの血液が滞りやすいです。
本来は下肢を動かすと、下肢の筋肉がポンプの役割を果たして血液が重力に逆らうかたちで心臓へと戻るように促されます。
下肢の運動が制限されるような状況においては、血液の循環が弱くなります。
血液は停滞すると凝固固する性質を有しているため、結果として血栓が生じます。
発症する状況の例としては、以下が挙げられます。
✓長距離移動(長時間の飛行機搭乗、長距離バス移動など)
✓パソコンを使用したデスクワーク
✓骨折でのギブス固定
✓悪性腫瘍の治療中 などです。
症状
血栓のある部位の痛みや腫れ
深部静脈血栓症を発症すると、血液の流れが滞るため、障害を受けた部位に一致して痛みや腫れが出現します。
経過としては急に発症することが多いです。
続発症として肺塞栓症を生じることがある
血栓がなんかの拍子ではがれると、血液の流れに乗った血栓は、心臓を介して肺動脈に入り込み、同部位で詰まります。こうして発症するのが‘‘肺塞栓症‘‘です。
肺塞栓症を発症すると、呼吸困難、心筋梗塞を発症したときのような前胸部の不快感や圧迫感を覚えます。
肺塞栓症の症状は重篤であり、致命的になることがあります。
検査・診断
血液検査
深部静脈血栓症は、まずは血液検査によるDダイマーやFDPの測定を行います。
Dダイマー・FDPは血栓が形成・溶解されることに関連して生成される物質であり、身体のどこかで血栓が存在していることを間接的に評価することが可能です。
超音波検査や造影CT
直接的に深部静脈血栓症を診断するためには、超音波検査や造影CTが有効です。
こうした検査によって、どの部位にどの程度の血栓が存在しているのかを評価できます。
治療
深部静脈血栓症及び肺塞栓症の治療には、以下が挙げられます。
✓抗凝固療法
✓血栓溶解療法
✓カテーテル治療
✓外科療法
✓下大静脈フィルター
できて間もない血栓なのか、肺塞栓症を発症しているかなどの状況を見極めつつ治療方針を決定します。
抗凝固療法においては、ワーファリンやヘパリンと呼ばれる薬が使用されます。近年では新しい抗凝固療法も登場して、従来の治療方法に伴う食事制限や用量調整の煩わしさといったデメリットを克服する治療方法として、使用され始めています。しかし、易出血性という副作用もあるので、出血傾向に注意が必要です。
同時に下大静脈にフィルターを留置し下肢からの深部静脈血栓をあらかじめキャッチし、肺へ飛ばないようにする予防方法も行われています。
緊急的に血栓への対応を行う場合には、血栓溶解療法やカテーテル療法、それでは対応できない状況では外科的手術が選択されます。
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