「眠り方が分からなくなった」と不眠恐怖を抱く慢性不眠の方への対応

不眠は極めて頻度の高い症状であり、現在成人の3人に2人が睡眠に何らかの悩みを抱えているといわれている。

そのため、すべての診療科において臨床で問題となることが多い。

 

最近は安全性の高い睡眠薬も増え、一般医が処方する機会も多くなった。

 

しかし、依然として睡眠薬には過鎮静や転倒リスクに加えて、精神依存や身体依存の問題があり、むやみに処方するのは好ましくない。

ICSD-3の不眠障害の診断基準にあるように、診断には夜間の不眠症状に加えて、日中の機能障害を伴わなくてはならない。

また、十分な睡眠時間が確保できているにも関わらず、寝つきが悪いことのみを不眠と訴えるケースや、就寝時刻が早いゆえに早朝覚醒しているケースも少なくない。

そのため、具体的な睡眠状況を明確にするためにも、睡眠行動日誌の活用が有効である。

ベッドに入る時間、就寝時間、起床時間、中途覚醒時間、日中の眠気などを詳細に記載する。

睡眠状況を把握したら、不眠の原因について検討する。

環境変化や精神的ストレス、痛みや咳などの身体的ストレスがある場合は、一過性の不眠は自然な反応と考え、原因除去が優先される。

また、ステロイドなどによる薬剤性不眠や、うつ病やむずむず脚症候群などの不眠の原因となる他疾患の有無を確認する。

原因がすぐに除けない場合には、対症療法として一時的に睡眠薬を使用する。

一方で原因が除去された後も不眠症状のみ持続してしまう場合があり、これを「慢性不眠」と呼ぶ。

慢性不眠の治療には、睡眠衛生指導が欠かせない。

なぜならば、前駆した急性不眠エピソードの時に、睡眠に対する誤った認知や行動が習慣づけられ、それらが持続することで慢性化しているケースが多いからである。

特に患者さんは不眠を夜間のみの問題として捉えることが多く、一日を通した生活指導を要する。

また、不眠は強い不快感を伴うため、不眠恐怖に移行しやすく、正しい知識提供に加え、患者の苦痛に共感し、安心感を与えることも大切である。

これら睡眠衛生指導の内容については、睡眠の認知行動療法 CBT-iが推奨されており、その有効性が示されている。

一般医にとって、認知行動療法は、精神科特有の治療法のように認識されがちであるが、その内容は難しいものではなく、あらゆる場面で応用できるもので

睡眠薬の処方に先立ち、睡眠衛生指導を行っていきたい。

 

監修者情報・医師 松島勇介

松島勇介院長

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